大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和63年(わ)83号 判決

本籍

兵庫県洲本市本町五丁目一三一番地の一

住居

同市本町八丁目二番四号

会社役員

小田光雄

明治四三年一一月九日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官甲斐孝雄、弁護人宮本清司出席の上審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金二三〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となる事実)

被告人は、自己の所得税を免れようと企て、昭和六一年分の総所得金額は一億八九一〇万六四一三円で、これに対する所得税額は一億〇一八二万二〇〇〇円であるにもかかわらず、継続して有価証券を売買したことによる所得のすべてを除外するなどの行為により、その総所得金額のうち一億五三七六万〇〇九三円を秘匿した上、昭和六二年三月一六日、兵庫県洲本市山手一丁目一番一五号所在の所轄洲本税務署において、同税務署長に対し、昭和六一年分の総所得金額が三五三四万六三二〇円で、これに対する還付を受ける源泉所得税額が二七二万五七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億〇一八二万二〇〇〇円との差額一億〇四五四万七七〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

一  被告人の

1  当公判廷における供述

2  検察官に対する供述調書四通

3  大蔵事務官に対する質問てん末書一九通

一  小田美穂及び小田雅英の検察官に対する各供述調書

一  小田三重子、小田智子、濱端親子、武本徹(二通)、山谷元良(三通)、阿部芳実、三宅弘之、山添正治、小田美穂(四通)及び小田雅英(三通)の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  高杉和夫、仲川礼次郎、阿部芳実(二通)、豊原忠(四通)及び山添正治作成の各供述書

一  大蔵事務官松田学作成の証明書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書一七通

(法令の適用)

一  罰条

所得税法二三八条

一  労役場留置

刑法一八条

一  懲役刑の執行猶予

刑法二五条一項

一  訴訟費用の処理

刑事訴訟法一八一条一項本文(被告人に負担させる。)

そこで、主文のとおり判決する。

(裁判官 小松平内)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例